双極性障害サバイバル

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佐藤優さんの『世界史の極意』から資本主義について学んだよ

 こんばんは。ひろあきです。

 

 今日佐藤優さんの『世界史の極意』という本を読みました。なぜこの本を選んだかというと、昨日のイギリスのEU離脱のニュースに刺激を受けたことと、Amazonのキンドルの月間セールで安かったからです。

 

 この本は、多極化する世界を読み解く極意、民族問題を読み解く極意、宗教紛争を読み解く極意の3章から成り立っていて、これを読めば今の世界情勢をより理解しやすくなるようになっています。

 

 今回はその中でも特に資本主義について学んだことをメモ的にまとめてみました。知っている人にとっては当たり前の内容かもしれませんが、自分にとってはとても刺激的な内容でしたので、シェアしますね。

 

国家独占資本主義

 帝国主義化した資本主義体制の国々は、戦後、社会主義革命を阻止するために、福祉政策や失業対策など、資本の純粋な利潤追求をにブレーキをかけるような政策をあえてとるようになりました。利潤は多少減少しても、資本主義を守るためにはやむをえないというわけです。

 つまり、国家という暴力が資本の暴力を抑えこみ、結果として労働者の利益になるようなことをするのですが、それは善意からではありません。資本主義システムを維持するほうが国家にとって得になるからこそそうするのです。

 このような、国家が資本に強く介入する資本主義をマルクス経済学では「国家独占資本主義」といいます。

 まず、驚いたのは著者の視点では、福祉政策や失業対策などは国家が社会主義革命を防ぐために行なっているということなんだということです。

 

 そうであれば、社会主義・共産主義の壮大な実験が失敗に終わった今、福祉政策や失業対策を行う必然性はなくなったということでしょうか。確かに今の安倍政権の動きを見ていると、そういう流れを感じなくもないですね。

 

 まあ、もちろんモノの見方はいろいろあるので、これが絶対的に正しいとは思わないですが、今までうさんくさいと思っていたマルクス経済学を少し見直しました。

 

新・帝国主義 

 ただし、現代の新・帝国主義は、かつての帝国主義とは異なります。

 一九世紀末から二〇世紀初頭まで、欧米の帝国主義列強は軍備拡大を競い、植民地を求めて抗争を繰り返しました。その結果が第一次世界大戦です。

 これに対して、二一世紀の帝国主義は植民地を求めません。それは人類が文明的になったからではなく、単に植民地を維持するコストが高まったからです。また、新・帝国主義は全面戦争も避ける傾向を持つ。全面戦争によって、共倒れになることを恐れるからです。植民地を持たず、全面戦争を避けようとするのが、新・帝国主義の特徴です。

 著者によると、この21世紀の世の中も帝国主義の時代であるということに、正直驚きを隠せませんでした。昔の帝国主義とは違って、搾取されている国が見えにくくなっているだけということでしょうか。

 

 正直にわかには信じられませんが、今後は今の世界情勢が帝国主義国家の様々な活動によって動いているという視点で見るようになりそうです。

 

賃金が決まる3つの要素

 では、そのときに労働力の価値である賃金はどう決まるのでしょうか。それには三つの要素があります。

 たとえば一ヶ月の賃金だったら、一つは、労働者が次の一ヶ月働けるだけの体力を維持するに足るお金でなければならない。食料費や住居費、被服代、それにちょっとしたレジャー代などが相当します。

 二つ目は、労働者階級を再生産するお金です。つまり、家族を持ち、子どもを育てて労働者として働けるようにするためのお金が賃金に入っていないといけません。

 三つ目は、資本主義社会の科学技術はどんどん進歩していきますから、それにあわせて自分を教育していかなければいけない。そのためのお金が必要になります。

 これもマルクス経済学の考え方ですが、こういう考え方は全く知らなかったので、とても新鮮でした。

 

 この考え方からすると、今の日本の出生率が下がっていることなどは、賃金の中に労働者階級を再生産するに相当するお金が含まれていないことも一因なのかなと考えてしまいました。

 

まとめ

 世界史を学ぶつもりが、マルクス経済学的資本主義を学ぶことになりましたが、このマルクス経済学というフレームは世界の動きを見るには、1つの有効なツールになりそうです。

 

 その他にも、この本では民族問題についてや宗教対立について、著者独自のフレームを通じて見ることによって、詳しく学ぶことができます。

 

 とてもわかりやすい本なので、おすすめですよ。それではまた。

 

 

世界史の極意 (NHK出版新書)

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